ビタミンCは、美容効果の高い成分の、いわば草分け的存在。ところが、コラーゲンやヒアルロン酸などを配合した美容液の登場で、このところ、いささかその影が薄れているように思われます。
コラーゲンやヒアルロン酸など分子の大きい成分は、いくら肌に塗っても吸収されず、効果はほとんど期待できません。その点、ビタミンCは、分子が小さいため、飲んでよし、塗ってよし、美肌効果を十分に期待できるスグレモノです。きれいな肌への最短ルートを考えるとき、やはりビタミンCの存在は必要不可欠です。
ビタミンCのQ&A
Q.昔からお肌にいいと言われるビタミンC。具体的にはどのような作用があるの?
白血球の機能を高める作用、コラーゲンの生成に関与して骨や皮膚をつくる作用、活性酸素を除去する抗酸化作用、抗ストレスホルモンの生成を促す作用、高脂血症の改善作用、メラニン色素の合成を阻害する作用などが期待できます。
Q.1日にどれくらいビタミンCを摂れば、美肌効果を期待できる?
日本人のビタミンCの摂取量は、1999年の国民栄養調査によると、平均で1日あたり263mgです。通常の食生活だとその程度です。でも、食べ物のなかに含まれているビタミンCは、熱の影響などによって壊れやすいため、加熱調理することなど考えると、実際にはもっと少ないと思っていいでしょう。ところで、ビタミンCの血中基礎濃度は1日に1gの摂取までは上昇します。毎日1g以上とる人の血中濃度は、1.5mg/dl以上になり、1日に100mg以下の摂取の人は0.9mg/dlになります。1日に摂取すべきビタミンCの目標量は、一般の健康効果を目的にするのならば1g以上です。でも、メラニン色素産生量を低下させて、肌の美白効果を目的にするならば、3g以上とることが望ましいでしょう。
Q.ビタミンCは摂りすぎても体に害はないの?
大量のビタミンCをとると、尿が酸性になります。その影響で腎臓や尿路に結石ができやすくなります。結石のできやすい体質の人は1日3g以下までにしてください。また、ビタミンCを空腹で大量にとると、すっぱい胃酸が込み上げてくるという人もいます。そのような人は空腹での摂取は控えたほうがいいでしょう。
Q.ビタミンCをたくさん摂ると、シミやソバカスが薄くなるのはなぜ?
シミやソバカスは、表皮と真皮の境目に存在するメラニン細胞が突然変異を起こすことが原因です。突然変異によってメラニン細胞が大量のメラニン色素を生成するようになるのです。メラニン色素の原料は「チロシン」というアミノ酸です。チロシンが酸素「チロシナーゼ」の作用を受けて、メラニン色素へと変換されていくのです。したがって、チロシナーゼの作用が弱くなれば、当然、メラニン色素の生産量は低下します。ビタミンCは、このチロシナーゼの作用を強力に抑えます。そのチロシナーゼ阻害作用のおかげで、シミ・ソバカスが薄くなるのです。
Q.ビタミンCをたくさん摂ると、肌にハリもよみがえるの?
肌のハリ、つまり皮膚の弾力は皮下組織の充満度の影響を受けます。皮下組織に成分が満ち満ちていれば、弾力のある肌になりますし、成分が欠乏していれば隙間だらけになって弾力がなくなります。ここでいう皮下組織の成分とは、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸などのことです。これらの成分は、皮下組織内に存在する線維芽細胞によってつくられます。線維芽細胞がコラーゲンをつくるときには、「プロリン」というアミノ酸を「ハイドロキシプロリン」というアミノ酸に変換しなければなりませんが、このとき必要な酵素が「プロリルハイドロキシラーゼ」です。ビタミンCは、そのプロリルハイドロキシラーゼの補酵素として働きます。したがって、ビタミンCが大量にあるとコラーゲンが増えて肌の弾力、つまりハリがよみがえりやすくなるということになります。以上から、ビタミンCは肌のハリを維持したり、弾力をなくした肌にハリをよみがえらせるのに有効ということになります。透きとおる白い肌を維持するためには、ビタミンCの大量摂取は必須であるといえるでしょう。なお、ヒトプラセンタ(人の胎盤抽出物)を併用すると、透きとおるような白い肌をつくる効果がより一層、高まります。
Q.ニキビや吹き出ものに対する効果は?
毛穴には、そのひとつひとつに、皮脂腺がついています。皮脂腺からは脂成分が分泌されます。この脂成分は、毛穴から体表面に放出されて、皮膚の表面に薄い皮脂膜をつくり肌の乾燥を防ぐという、いわばバリアの働きをします。皮脂腺でつくられる脂成分は、順調に体の表面へと流れ出なければなりません。脂質が毛穴のなかにたまってしまうとバイ菌の格好のえさとなり、そこで細菌が繁殖しやすくなります。ニキビや吹き出ものは、毛穴のなかにたまった脂成分のなかで細菌が繁殖し、外に姿をあらわしたものです。ところで、皮膚の表面には、もともと細菌がたくさんいます。ストレスや寝不足などで皮膚の免疫力が低下すると、細菌が繁殖しやすくなり、ニキビ・吹き出ものができやすくなります。以上のメカニズムを考えると、ニキビ・吹き出ものを防止するには、毛穴の内側の脂成分が順調に流れ出ること、細菌が繁殖しないような強い免疫力を持つことの2点が重要ということになります。ビタミンCは、リンパ球の働きを高めて免疫力を増強しますので、ニキビ・吹き出ものの予防に効果を発揮することはあるでしょう。しかし、脂成分が滞留しやすい体質であったり、睡眠不足やストレス、過労、食生活の乱れ、お酒の飲みすぎなどで免疫力が極端に低下しているようなときは、いくらビタミンCをとったところで「焼け石に水」といえるかもしれませんね。
Q.ビタミンCが不足しやすいのは、どんな人?
週に2回外食をする人の血中ビタミンC濃度の平均は、1.02mg/dlで、外食しない人の平均ち1.25mg/dlを下回っています。外食の多い人はビタミンCが不足しがちといえるでしょう。また、喫煙者の血中ビタミンC濃度は、非喫煙者より20%ほど低くなっています。喫煙者もビタミンCが不足しがちといえるでしょう。また、帰宅時間が遅い人、通勤時間が長い人もビタミンCの血中濃度が低いというデータがあります。ストレスが大きい人の体内では抗ストレスホルモンが生まれやすく、そのためビタミンCが多量に消費されて、不足しがちになるのかもしれません。さらに、汗まみれになる激しい労働をする人やスポーツ選手は、活性酸素の障害から身を守るためにビタミンCが大量に消費されます。この場合は、不足しがちというよりも、大量に摂取して身を守るべきだといえるでしょう。
Q.ビタミンCの抗酸化作用って?それは、肌をきれいにすることと関係ある?
私たちの体内では、さまざまな化学反応が行われています。食物を消化するのも化学反応ですし、エネルギーをたくわえるのも、たくわえたエネルギーを運動エネルギーに変えるのも、すべて化学反応です。考え事をして脳細胞が活動するのも、心臓が動いているのも化学反応の結果です。その化学反応のパターンとして、酸化還元反応は大きなウエイトを占めています。近年の研究の結果、不必要な酸化反応が細胞の遺伝子であるDNAにキズをつけ、突然変異を起こさせることがわかりました。また、脂質代謝においても、過剰な酸化反応が悪影響を与え、動脈硬化が進行しやすくなることがわかりました。以上のような研究成果を背景に、過剰な酸化反応を起こさせる物質として、近年、活性酸素と過酸化脂質、紫外線がクローズアップされるようになり、それらが引き起こす酸化反応を抑えることが、健康維持のテーマになったのです。ビタミンCはみずからが酸素と結びついて還元剤として働く結果、他の成分が酸化されるのを抑えるという役割を果たします。この役割を果たすことを「抗酸化作用を持っている」といいます。肌は外界と接していることから、ある意味で活性酸素、過酸化脂質、紫外線につねに接しているともいえます。したがって、それらの障害から肌を守る作用のあるビタミンCは、きれいな肌とつくる上で重要な役割を果たしているといえるでしょう。
Q.ビタミンCをたくさんとれば、健康で若々しく長生きできるの?
日焼けには2つケースがあります。肌が最初はほんのりと赤くなってやがて黒褐色になるパターンと、最初に真っ赤になってヤケドのような状態になり、そのあと、黒くならないもとの肌色に戻っていくパターンです。どちらのパターンになるかは、それぞれのメラニン細胞の活性度の違いによるところが大きく、それは遺伝体質によります。健康にいいのは、黒褐色になるパターンです。日焼けして黒くなるというのは、ある意味では紫外線から身を守る防衛反応だからです。黒褐色にならない人は紫外線の悪影響が肌の奥深くまで浸透しますので、水ぶくれになるなど、ヤケド状態になることがしばしばです。
太陽光により、メラニン細胞が活性化されるパターンの人は、メラニン細胞の過剰活性化と突然変異によって、シミ・ソバカスができることに注意しなければなりません。そのため、ビタミンCはきわめて有用です。ヒトプラセンタを併用するとさらに効果的といえるでしょう。一方、日焼けして水ぶくれするタイプの人は、ビタミンCを摂取する程度では、日焼けによるヤケドの予防や治療には間に合いませんが、やはりメラニン細胞の突然変異には気をつけなければいけません。それには、ビタミンCとヒトプラセンタとの併用が非常に有効です。
Q.ビタミンCには、「天然」「合成」「医薬品」「サプリメント」などの分類があるけど、その違いは?
実際に利用する上では、たいした違いはありません。商品のイメージ的な付加価値、規制法律などに違いはありますが、内容的にはどれも同じだと思っていいでしょう。あくまで、「1日に何gを摂取するか」がポイントです。
Q.肌のハリと関係しているミネラルはタバコを吸うとビタミンCが壊れるって聞いたけど本当?
タバコの成分が肺に入ってくると、その成分(主にタール成分)を撃退しようとして、気管支の周囲に配置されている白血球が猛烈に働くことになります。このとき、白血球の働きを維持するためにビタミンCが消費されます。タバコ1本につき、25mgものビタミンCが消費されます。ということは、タバコを毎日20本吸う人は吸わない人に比べて、ビタミンCを500mg以上も多めにとったほうがいいということになります。喫煙者に肌あれやシミ・ソバカスが多いのは、単純にビタミンC不足が原因なのかもしれません。
Q.ビタミンCをサプリメントでとるとき、もっとも効果的な飲み方は?
ビタミンCは水溶性で、すばやく腸から吸収されます。腸から吸収されたあとは、血液中をめぐり、必要な臓器に配分されたあと、尿となって排出されます。各細胞内のビタミンC濃度が最高になるのは、摂取後の2~3時間です。そのあと、濃度は次第に低下し、6~8時間後には半減します。以上を考えると、抗酸化作用や免疫力向上などを目的として健康のためにビタミンCを毎日摂取するなら、1日3回、毎日食後にとるのがいいでしょう。食後にとったほうが、空腹時よりも吸収のペースを遅らせることができるので、長時間作用させることができます。また、食後すぐに飲んだ方がすきっ腹で飲むより、胃のダメージが少ないというメリットもあります。もちろん、美肌目的で飲むときも、1日3回食後にとるのがおすすめです。
Q.外にいく前にビタミンCを飲んでおくと、日焼けを予防できる?
紫外線は皮膚の奥に浸透して、健康上好ましくない障害を多く発生させます。そうした紫外線による障害を防ぐために、メラニン色素は紫外線を感知すると活性化し、メラニン色素をつくります。メラニン色素が紫外線の侵入を防いでくれるのです。つまり、体を守るために日焼け現象は起こっています。
ところが、もともと日焼けすることの少ない人が突然、大量の紫外線を浴びると、メラニン細胞の急な活性化にともない、突然変異が起こることがあります。この突然変異がシミやソバカスとして残ることになります。
逆にメラニン細胞が活性化しないで、肌が赤くなることがあります。この場合は、紫外線が奥深くまで浸透することになり、体にとっては危険な状態です。したがって、このタイプの人は、日焼けをしないような工夫をすることがもっとも大切です。ビタミンCには、チロシナーゼの阻害作用があり、メラニン色素の合成を抑えますが、日焼けを防止できるほどのものではありません。とはいえ、ビタミンCの抗酸化作用が役立ちますので、事前にビタミンCをとっておいたほうがいいでしょう。少量ではなく、一度に3gぐらいとったほうがいいと思います。
Q.つい油断して、ひどい日焼けをしてしまった。今からビタミンCをとっても効果ある?
日焼けには2つケースがあります。肌が最初はほんのりと赤くなってやがて黒褐色になるパターンと、最初に真っ赤になってヤケドのような状態になり、そのあと、黒くならないもとの肌色に戻っていくパターンです。
どちらのパターンになるかは、それぞれのメラニン細胞の活性度の違いによるところが大きく、それは遺伝体質によります。健康にいいのは、黒褐色になるパターンです。日焼けして黒くなるというのは、ある意味では紫外線から身を守る防衛反応だからです。黒褐色にならない人は紫外線の悪影響が肌の奥深くまで浸透しますので、水ぶくれになるなど、ヤケド状態になることがしばしばです。
太陽光により、メラニン細胞が活性化されるパターンの人は、メラニン細胞の過剰活性化と突然変異によって、シミ・ソバカスができることに注意しなければなりません。そのため、ビタミンCはきわめて有用です。ヒトプラセンタを併用するとさらに効果的といえるでしょう。
一方、日焼けして水ぶくれするタイプの人は、ビタミンCを摂取する程度では、日焼けによるヤケドの予防や治療には間に合いませんが、やはりメラニン細胞の突然変異には気をつけなければいけません。それには、ビタミンCとヒトプラセンタとの併用が非常に有効です。
Q.食材に含まれるビタミンCは、調理の過程で失われやすいとか、くわしいことを教えて
ビタミンCは熱に対して非常に弱く、食材を水洗いしたり、湯のなかでゆでたり焼いたりすると、ビタミンCの大半は壊れてしまいます。たとえば、ホウレンソウの場合、1分ゆでると25~30%のビタミンCが失われ、5分ゆでると60%ものビタミンCが失われてしまいます。また、調理したらすぐに食べることも大切です。たとえば、大根おろしの場合、おろしてから5分後にはすでに5%のビタミンCが失われ、2時間も放っておくとビタミンCの量は半分程度になってしまいます。
したがって、食材のからビタミンCをとるときには、なるべく水洗いを手早くして、できるだけ生の状態ですばやく食べることが望ましいでしょう。どうしても加熱の必要のあるときは、電子レンジを利用すると水をほとんど使わず、加熱時間も短くてすみます。
ちなみに、ビタミンCは凍結に対しては強いようです。冷蔵庫に入れっぱなしの野菜を食べるより、冷凍野菜のほうがビタミンCは豊富。電子レンジで解凍すればビタミンCの損失を妨げます。