現代人はミネラル不足
ひとり暮しをはじめたり、外食の機会が多くなってくると、それに比例して肌のトラブルも増えてきます。なぜでしょう?
それは、加工食品や外食の食材にミネラルが不足しているからです。外食で使われる食材は衛生上の問題からよく洗浄されますが、このときミネラルも一緒に洗い流されてしまうのです。
各種ミネラルが健康維持に欠かせないことはいうまでもありません。
ミネラルのQ&A
Q.ミネラルって何?
私たちの体の約4%はミネラルでできていて、歯や骨などを構成しています。自然界には約90種類のミネラルがあります。そのうち、人間の体を構成するミネラルは、主要ミネラル7種類と微量ミネラル22種類の全29種類です。
主要ミネラルとは、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リン、塩素、イオウです。一方、微量ミネラル22種類のうち必須性が高いのは、鉄、銅、亜鉛、セレン、マンガン、ヨウ素、コバルト、モリデブン、クロムの9種類です。
Q.ミネラルは、体のなかでどのような働きをするの?
皮膚や臓器の新陳代謝、神経の刺激伝達や筋肉の収縮など、体のなかで起こる多くの化学反応をサポートして活性化する働きがあります。
とくに肌に対しては、皮膚の新陳代謝を活発にして、フレッシュな細胞が生まれ、古い角質がはがれ落ちていくターンオーバーをスムーズにする働きなどがあります。
Q.ミネラルをもっとも多く含む代表的な食品は?
海の植物である海藻類です。また、動物の肝臓にも多く含まれています。
Q.肌の健康とミネラルの関係は?
ひとり住まいをはじめたばかりの人が、肌のトラブルを訴えることがよくあります。偏った食生活が原因と思われます。とくにカップめん中心の食生活の若者に多いようです。実家に戻ると肌のトラブルがすぐに解消されるのも特徴です。原因として、やはりミネラル不足、そしてビタミン不足も考えられます。
Q.普通の生活をしていて、十分なミネラルはとれているの?
最近の食品にはは精製された素材が使われています。しかし、精製すればするほど食材中のミネラルは失われます。偏りのない食生活の人には、あまり不足するものではありませんが、偏った食生活をしている人、とくに魚介類を嫌う人にはミネラル不足の傾向が見られます。
Q.「活性酸素が体に悪い」という話をよく聞くけど、活性酸素を退治するミネラルは?
体内の活性酸素を除去する酸素の必須成分として、鉄、銅、亜鉛、マンガン、セレンがあげられます。このことから、ミネラルは間接的に活性酸素の障害から体を守っているといえます。
Q.肌に関係の深いミネラルの種類は?
肌に欠かせないミネラルとして、銅、マンガン、亜鉛、ヨウ素、イオウがよく知られています。
Q.不足すると肌があれるミネラルは?
亜鉛です。亜鉛は活性酸素が生まれるのを阻害する酸素に含まれるミネラルとして重要な役割を果たしています。つまり、活性酸素によるダメージを防いで細胞を保護する働きがあるのです。このことは、紫外線や外的刺激(化粧品などの科学物質や花粉など異物との接触など)の影響を受けやすい皮膚を守るためには非常に重要です。亜鉛が不足すると肌あれを起こしやすいのは、紫外線などの影響を受けやすくなるからです。
Q.亜鉛を多く含む食品には、どのようなものがある?
海藻類や、カキ、ホタテなどの貝類、そのほかレバー、ウナギ、タラコ、アーモンド、サンマ、鶏のささ身、卵黄、豆類などです。
Q.亜鉛不足による肌あれを起こしやすいのは、どんなとき?どんな人?
亜鉛は、尿や汗のなかにかなりの量が排泄されます。真夏の汗をかく時期には、大量の亜鉛が失われるため、夏は肌あれが起きやすいといえるでしょう。また、運動によるダイエットに取り組んでいる人にも、亜鉛不足による肌あれが起こりやすいでしょう。また、お酒を急激に飲むと、尿中の亜鉛排泄量が増えてしまいます。したがって、お酒の飲みすぎも肌あれと関係があるといえるでしょう。
Q.肌のハリと関係しているミネラルは?
マンガンです。皮下組織はゆるい網の目状にできている線維(コラーゲン、エラスチン)の隙間に、種々の物質が満たされてできています。その物質の中心が、糖タンパクやコンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸です。それらを合成するためには、糖転移酸素という酸素の働きが必要ですが、この酸素が働くのに必要なのがマンガンです。したがって、マンガンが不足すると肌のハリも衰えるといえるでしょう。
Q.マンガンを多く含む食品を教えて
干しヒジキなど海藻類のほか、玄米、大豆、アーモンド、抹茶、カキ、納豆、小豆、サツマイモなどです。
Q.肌の弾力と関係しているミネラルは?
銅です。皮下組織に存在する線維芽細胞は、コラーゲン分子をつくって皮下組織に放出しています。放出されたコラーゲン分子は単独では役に立ちません。多数のコラーゲンが重なりあって、はじめて肌の弾力の維持など、コラーゲンとしての本来の役割を果たすことができます。コラーゲンの分子が重なりあってしっかり結びつくためには、「リギルオキシダーゼ」という酸素が必要です。その酸素を活性化させるのに、ミネラルの銅が必要なのです。したがって、銅が不足するとコラーゲンがしっかり結合することができず、肌の弾力が失われることになります。
Q.銅を多く含む食品は?
貝類に圧倒的に多く含まれています。ほかには、レバーやココア、チョコレート、カニ、エビ、ノリなどです。
Q.髪やつめに関係するミネラルは?
イオウです。イオウは魚介類や肉類、卵、乳製品に豊富に含まれているので、比較的欠乏しにくいのですが、そのような食品を嫌っていると、イオウ不足が起こり、「つめがもろくなる」「髪の毛が抜ける」「シミができる」などの症状となってあらわれます。とくに、妊娠中につめがもろくなるときは、イオウ不足の可能性が高いといえるでしょう。肉、魚などのタンパク質をしっかりとるようにしてください。
Q.イオウは体内でどのような役割をするの?
体のなかでは、タンパク質やアミノ酸と結合して存在しています。とくに、髪の毛や肌、つめのタンパク質に多く含まれています。
Q.カルシウムはどんな食品に多く含まれるの?
牛乳をはじめとする乳製品、小魚、干しエビ、ゴマ、切り干し大根などです。
Q.1日に必要なカルシウムの量は?
成人女性で600mg、成人男性では700mgです。ただし、30歳以上の男性は600mgで十分です。目安としては牛乳コップ約3杯で、カルシウム700mgに相当します。
Q.カルシウム以外に骨に関係するミネラルは?
マグネシウムです。マグネシウムはカルシウムとともに、骨や歯に含まれています。働きとしては、エネルギーの生成や体温の調節、筋肉・神経系への作用があります。
筋肉が活動するためには、マグネシウムがどうしても必要です。そのため、食事から摂取するマグネシウムが不足すると、不足分を補うために骨からマグネシウムが溶け出してきます。その際に、骨の中から5倍量のカルシウムも一緒に溶け出してしまいます。その結果、骨粗鬆症が促進されます。つまり、マグネシムが不足すると骨がもろくなってしまうということです。このほか、マグネシウム不足によって心筋梗塞や狭心症などの虚血症心疾患が発症しやすくなることが知られています。
Q.マグネシウムを多く含む食品は?
魚肉類、バナナ、ホウレンソウ、ゴマ、大豆、ノリ、ワカメ、コンブです。
Q.マグネシウムは1日にどれくらい摂ればいいの?
成人女性では250~260mg、成人男性では300~320mgです。目安としては、素干しコンブ4~5枚(約60g)で、マグネシウム300mgぐらいです。
Q.他にも肌に関係するミネラルはあるの?
ナトリウムがあります。ナトリウムは皮膚をはじめとるす体中の細胞の浸透圧を調整しています。また、体液のアルカリ性を干保持し、ほかのミネラルが血液中に溶けるのを手助けします。したがって、健康な肌に状態を維持するために、ナトリウムも欠かせません。このほか、ナトリウムには筋肉や神経の過剰な興奮状態を弱める働きもあります。
Q.ミネラルには美白効果もある?
紫外線が肌にあたると大量の活性酸素ができ、それがメラニン細胞の遺伝子にキズをつけ、新たなシミができます。亜鉛や、銅、マンガンなどのミネラルには、この活性酸素を無毒化する酵素を活性化する働きがあります。ミネラルには直接でないにしろ、紫外線によるシミを防ぐ効果、すなわち美白効果があるといってもいいでしょう。